表千家7代目如心斎を主人公とする歴史小説です。
家を背負い、その伝統を守り、世間に問い、関わっていく姿勢がすばらしいと思う。
いろんな視点からの眼目を持ち、精査し、行動に移していく、姿を映し出しています。
幾多の多難を乗り越え、一歩一歩先へ進めていく姿勢は、利休の確立した侘び茶の世界の継承者としての自覚であり、誇りであったのであろう。
先代から二つの宿題が与えられていた。それを成し遂げた男である。
先々代のとき行方知らずになった「利休遺偈」を探しだし、お稽古ごととしての茶の湯の広まりをいい方向に広げる手立てとして、習い事の入り口としての稽古法の考案、習い事のランク付け、免許皆伝の制度を新設と推し進めていった如心斎47年の物語です。重い荷物を背負い遂げて、一歩前に進めることのできた男の人生が、描かれた心温まるものでした。妻正、子与太郎がまた泣かせます。
2009年11月27日金曜日
2009年11月9日月曜日
「ビックボーイの生涯」を読む
城山三郎氏が、五島昇氏のことを書いた本である。五島慶太氏が東急の基礎を造り、昇氏が東急グループとして発展させていった。父からの寵愛を受けていた次男進氏の戦死の話から始まり、父との相違を意識しながらも、その父から帝王学を学び、自分のものにしていく。自分の時代になったとき、早くも転換を図り、自分が知らない業態はあきらめ、自分の理解できる得意分野で勝負していく姿をとらえている。近道の早道と言われる買収は避け、自分たちの力で仕事を造っていくことが王道であると説く。「買いあさるとか、ああゆうやり方はおれにはやれん。他人の造ったものは買うな。やるときは自分でやれ。世の中に役立つものをやっていれば、必ず利益がでる。」という。焦りすぎの自分に活を入れる一言です。
2009年11月3日火曜日
「鈍感力」渡辺淳一著を読む
鋭敏より鈍感の方が優れている場合がある。過度に反応する心よりなんだそう考えていたのかと温容に接して頂いた方がありがたい。心のぶれに対してそんなこと許容範囲よといわれたい。言わしめてみたい、自分に。恋愛小説の達人であり、医者でもある著者が、心模様から万物をみたときに一つの回答を「鈍感力」に見出したのではないかと想像する。心安らぐ回答である。凡庸に規則正しく健康に宇宙観を持って生きよと言われているようです。そこに納得する自分である。
登録:
コメント (Atom)
